履歴書・職務経歴書に記載する「退職理由」。
いざ書こうとすると、「書き方がわからない」「本当のことを書かないとダメ?」と迷ってしまいますよね。
そこで、この記事では「退職理由の書き方」を例文付きで分かりやすく解説します。
実際に現場で働く採用担当者のワンポイントアドバイスもご紹介しているので、ぜひ参考にしてくださいね。
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✓この記事の監修者 株式会社カスタムライフ 採用担当・Tさん 某大手人材会社にて、採用支援を経験し、カスタムライフの人事部へ転職。現在、営業からライター職まで、職域を問わず幅広く採用を担当している。 |
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1. 【理由別】退職理由の書き方の基本

実は履歴書・職務経歴書には、退職理由別に使うべき「定型文」が決まっています。
そのため、以下でご紹介する退職理由に応じた定型文を記載するだけでOKなのです。
・自己都合によるケース
⇒転職、結婚、病気など労働者に起因する場合
・会社都合によるケース
⇒リストラ・倒産など会社の都合による場合
・期間満了によるケース
⇒契約社員など雇用期間が定められている場合
自分に当てはまるものをチェックしてくださいね。
1-1. 自己都合による場合
転職や家庭の事情など、労働者から退職を希望する「自己都合退職」の場合、「一身上の都合により退職」と記載します。
・キャリアアップのため
・職場の人間関係などが原因(自分から退職を申し出た場合)
・結婚や転居などのライフイベント
・家族の病気や介護などの家庭の事情
▼記載例

「一身上の都合により退職」とする場合、職務経歴書に退職理由の記載は必要ありません。
上記ケースの書き方は「2.具体的に退職理由を書いた方が良いケース」で詳しくご紹介しています。
1-2. 会社都合による場合
リストラや倒産など、会社側の申し出により退職となった場合、「会社都合により退職」と記載します。
- リストラ・倒産などが原因で離職した場合
- 解雇(自己の責めに帰すべき重大な理由による解雇を除く。)により離職した場合
- 労働契約の締結時に明示された労働条件が著しく相違していたことが原因で離職した場合
- 期間の定めのある労働契約の更新によって3年以上引き続き雇用された時に当該労働契約が更新されなくなったことにより離職した場合
- 上司や同僚等によるいじめ、嫌がらせを受けたことによって離職した場合
- 会社から直接的、間接的に退職勧奨を受けたことにより離職した場合(この場合、早期退職優遇制度等に応募して離職した場合を除く)
- 労働基準法の上限を超える残業を行うなど会社が法令違反をしたことにより離職した場合
▼記載例

会社都合の中でも、倒産や事業縮小などが退職理由の場合は、具体的な理由を記載しましょう。

基本的に会社都合退職では、採用担当者も「本人に非はない」と判断しマイナス評価にはしません。
この場合、最も大切になってくるのは「志望理由」です。職務経歴書や面接の際には退職理由を伝えるだけではなく、応募先企業でどのように活躍できるかしっかりアピールしましょう。
1-3. 期間満了による場合
契約社員や派遣社員など、有期雇用契約が満了し、退職となった場合、「契約期間満了により退職」と記載します。
▼記載例

ただし、契約期間満了前に自己都合や会社都合で退職した場合には、その旨を履歴書・職務経歴書に記載しましょう。

現在、契約社員で今回正社員として転職活動をするのであれば「なぜ現在の会社では契約社員で、いま正社員になりたいのか」を記載をしましょう。
「大幅なジョブチェンジだったので一度契約社員で働いた...」などの経緯が分かると採用担当者の納得感を得られます。
2.【例文あり】具体的に退職理由を書くべきケース
主に自己都合退職の場合ですが、「一身上の都合」といった定型文では採用担当者の納得を得られないケースもあります。
例えば、
- 離職期間が長い
- 転職回数が多い
といった方の場合、具体的な退職理由を記載する必要があります。
そこで、この章ではよくある退職理由ごとの具体的な例文をご紹介します。
それでは、早速見ていきましょう。
2-1. 人間関係が悪い
人間関係が原因でも、事実をありのままに記載すると、応募先企業にはネガティブに思われてしまいます。
人間関係が悪いという原因を
- チームワークを重視して働きたい
- 周りと意思疎通を取りつつ働きたい
というようにポジティブな表現に言い換えましょう。
▼履歴書の記載例

▼職務経歴書の記載例

このように、履歴書には「キャリアアップのため」と記載することで、意欲をアピールできます。

上記例では、同僚や上司と相性が悪かったことを、「各自の判断で行動する」と言い換えています。
そして次の職場では「協調性を意識して働きたい」というように、どのような社風や環境で働きたいかを記載することで、ポジティブな退職理由になっています。
2-2. 給与や勤務条件など待遇が悪い
給与や勤務条件など、待遇面への不満も応募先企業にそのまま伝えるべきではありません。
この場合、
- 成果を重視する環境で働きたい
- きちんとした評価制度のある会社で働きたい
というように、会社の評価制度と自分の働き方が合わなかった理由に言い換えましょう。
▼履歴書の記載例

▼職務経歴書の記載例

「人間関係が悪い」場合と同様に、キャリアアップを目的にすれば、ポジティブな退職理由になりますよ。

企業の評価制度には、企業理念や経営方針が反映されています。
そのため「実力主義の理念に共感した」「評価制度のある会社で成長したい」など、転職先に繋がる前向きな理由にして伝えるようにしましょう。
2-3. スキルアップ(語学留学など)
長期語学留学や難関資格取得など、実行するのに仕事を退職する必要があり、1年以上の空白期間が空くケースもあります。
採用担当者は「空白期間中に何をしていたのか」が気になります。
- 留学中や資格勉強中に学んだこと
- 応募先企業でその経験をどのように活かせるか
このケースでは上記2点を意識して伝えるようにしましょう。
▼履歴書の記載例

▼職務経歴書の記載例

社会人以降に語学留学をした場合、履歴書の学歴・職歴欄に書くべきではないため、資格・免許欄に記載しましょう。

英語圏への留学の場合にはTOEICの点数、資格取得であれば資格の名称を記載しましょう。
そのうえで、留学や資格勉強で学んだことを志望理由に絡めてアピールすれば説得力が増しますよ。
2-4. 家庭の事情(結婚、介護など)
結婚や家族の介護など、家庭の事情の場合には、ありのままの理由を伝えることが大切です。
あわせて、履歴書や職務経歴書に、
- 現在は働ける状態になったこと
- 空白期間中に学んでいたこと
などを記載し、企業に熱意や能力をアピールしましょう。
①結婚に伴う退職の場合
▼履歴書の記載例

▼職務経歴書の記載例

②家族の介護の場合
▼履歴書の記載例

▼職務経歴書の記載例

2つ目の例文のように、前職での経験も絡めて書けると、志望理由に一貫性が増します。

ミスマッチ防止のため、もしお子様がいるのであれば、フルタイムなのか、時短希望なのかはきちんと記載しましょう。
また今後の働き方についても、「子供もある程度大きくなったので長く腰を据えて働きたい...」など具体的に記載して頂くと採用担当者の安心を得られます。
3. 退職理由の書き方に関するQ&A
ここでは、退職理由の書き方に関するさまざまな疑問にお答えします。
気になる質問からチェックしてみてくださいね。
Q1. 退職理由に嘘を書くとバレる?

嘘はバレるので、やめましょう。
近年、応募先企業から転職希望者へ離職票※1の提出を求められることが増えています。
※1 離職票:前職の会社で発行する失業給付金の受け取りに必要な書類
離職票には退職理由が記載されている※2ため、嘘の退職理由はバレてしまいます。
◆雇用保険被保険者離職票

※2 自己都合による退職と記載されています。
また、採用後に嘘が発覚した場合には経歴詐称で解雇される可能性もあります。
そのため、退職理由で嘘をつかず、応募先企業で活躍したいといった前向きな理由に言い換えて記載するようにしましょう。
Q2. パートやアルバイトの経験も記載すべき?

基本的にはアルバイト・パートの経験は記載しません。
基本的には正社員での経歴を履歴書・職務経歴書に記載します。
ただし、職務内容が応募先企業と関連がある場合には、プラスに評価される可能性もあります。
その場合、アピールポイントとして具体的に記載しましょう。
▼履歴書の記載例

▼職務経歴書の記載例

Q3. 退職願・退職届にはどう書いたらよいの?

① 「退職願」または「退職届」と書く
② 「私儀(わたくしぎ)」もしくは「私事」と書く
③ 自己都合退職の場合は、「一身上の都合」と書く
④ 退職願⇒退職希望日
退職届⇒退職日
※西暦・元号どちらでも可。会社の公式書類に使用しているものに合わせるのが◎
⑤ 退職願⇒「お願い申し上げます」など打診の旨
退職届⇒「退職いたします」と事実を報告
⑥ 退職願・退職届ともに提出する日付を記入
⑦ 宛名より下の位置に所属と名前を記入し、名前の下に捺印
⑧ 組織の最高執行責任者の役職と名前を書く。敬称は殿
※自分の名前よりも上にくるように書くこと。

自己都合退職の場合、「一身上の都合」と記載しましょう。
内定後、今の職場に退職の意思を伝えるには「退職願または退職届」を提出する必要があります。
法律上、退職理由を詳細に伝える義務はないため、記載時には「一身上の都合」とすることが無難です。
一方で、会社側からの要請で退職する場合には、「会社都合による」と記載しましょう。
4. まとめ
ここまで退職理由の書き方について解説しました。
・「一身上の都合により退職」と記載
⇒転職、結婚など労働者側の都合による場合
・「会社都合により退職」と記載
⇒リストラ・倒産など会社側の都合による場合
・「期間満了により退職」と記載
⇒契約(派遣)社員など雇用期間がある場合
・「具体的な退職理由」を記載
⇒転職回数が多い、離職期間が長い場合
退職理由の書き方に気を付けて、採用担当者から好印象を得られる「履歴書・職務経歴書」を目指しましょう。
極端に転職回数が多かったり、在籍期間が短い・離職期間が長いなどの場合には「なぜだろう」と考えてしまいます。
「結婚や家庭の事情」「キャリアアップ」など、やむを得ない事情があった場合には具体的に書いた方が良いでしょう。